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事業承継税制とは?要件やメリット・デメリットなど

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事業承継税制は、ある事業を承継した際にかかる税金を抑えることができる制度です。
今回は、この事業承継税制について、要件やメリット・デメリットなどを詳しく解説します。

事業承継税制とは

事業承継税制とは、経営者が後継者に事業を承継する際にかかる贈与税や相続税を抑え、円滑な事業承継を促進するために2009年度の税制改正によって創設された制度です。
事業承継税制を活用することにより、事業を承継した後継者は事業承継のために取得した自社株式にかかる贈与税や相続税について、納税猶予を受けることができます。
そして、納税猶予の後、一定期間にわたって要件を満たすことにより、猶予された税額の免除を受けることができます。

事業承継税制の要件

1. 企業側の要件
⑴. 非上場の中小企業であること
⑵. 風俗営業会社に該当しないこと
⑶. 資産管理会社に該当しないこと

2. 先代経営者側の要件
⑴. 会社の代表者を務めていたこと
⑵. 相続・贈与の前に筆頭株主であり、かつ、総議決権の過半数を保有していたこと

3. 後継者側の要件
【相続の場合】
⑴. 相続によって筆頭株主かつ総議決権数の過半数を保有すること
⑵. 相続直前に役員であったこと
⑶. 相続開始から5か月以内に代表取締役になること

【贈与の場合】
⑴. 贈与によって筆頭株主かつ総議決権数の過半数を保有すること
⑵. 贈与直前に3年以上役員であったこと
⑶. 贈与時に代表取締役になること

4. 事業継続に関する要件
上述した要件を満たすことにより事業承継税制の認定がされます。
もっとも、この認定を受けただけで税金の支払いを免れるわけではありません。

税金の支払いを免れるためには、⑴後継者が会社の代表を続けていること、⑵承継した株式を保有し続けること、及び、⑶雇用人数が相続・贈与時の8割以上を維持することを満たす必要があります。
上記⑶については特例措置による例外があり、この場合には⑶を満たすことができなかったことについて正当性を証明できる資料を提出することにより、税金の支払いを免れることができます。

事業承継税制のメリット・デメリット

1. メリット
⑴. 事業承継の際に必要となる税金を大幅に減らすことができる
通常、事業承継の際には、多額の贈与税や相続税が発生することとなります。
もっとも、事業承継税制を利用することにより、このような税金の納付が免除されると、後継者は事業承継税制によって浮いたお金を会社の資金繰りなどに活用することができます。

⑵. 個人事業主による事業承継の際にも利用できる
事業承継税制は当初、法人のみが対象でしたが、平成31年の改正以降は個人事業主による事業承継も対象となりました。

2. デメリット
⑴. 届け出の失念により猶予が終了する
納税の猶予を受けた場合、その後は年次報告書や継続届出書などの書類を提出する必要があります。
提出頻度は、最初の5年間は毎年1回、その後は3年に1回です。この書類の提出を失念した場合、納税猶予は終了となります。

⑵. 制度が複雑であり、理解が困難である
上述の通り、事業承継税制は要件や手続きが厳格に定められています。
税金や会社法などに詳しくない人にとっては制度内容を理解するだけでも困難を極めるでしょう。
納税の免除という重大な効果を確実に発生させるためにも、事業承継税制を利用したいとお考えの場合には一度税理士などの専門家に相談することをおすすめいたします。

税金に関する問題はMAパートナーズ会計事務所におまかせください

今回は、事業承継税制の要件やメリット・デメリットなどについて解説していきました。
税務問題にお困りの際は、MAパートナーズ会計事務所にお気軽にご相談ください。